日本人の宗教意識と宗教行動の乖離
おはようございます。なんとか課題を終わらせまくって疲れたので、課題をコピペしたいと思います。(画像は、「初詣 フリー素材」で検索しました)
日本人の宗教観に対する反論
「日本人って、宗教に対していい加減だよね」と欧米人に言われたことに対して反論していきたいのだが、そもそも欧米人との宗教に対する価値観の違いであることを主張したい。日本人が「宗教に対していい加減」と言われるのは、「宗教国家」とも呼ばれる欧米側からの視点である。以下、福島和俊『日常生活に埋没した宗教・信仰の心理学的理論構築への試み』（2011.11）の文献を参考に具体的に述べていく。
日本人は宗教の信仰、または宗教行動に対して自覚している人が少ないと言える。以下、福島(2011)引用。
日本人の宗教観については、統計数理研究所、國學院大學、NHK、朝日新聞などそれぞれが継続的に調査を続けている。それらの結果から日本人の中で信仰を自覚する者は、戦後すぐの時期と比較して半減しており（石井,2010）、特に若年僧において顕著だという(林,2010)。（p26）
しかし、福島は続けてこう述べている。
2009年の正月三が日に日本全国の主な神社仏閣に初詣に行った人の数が最多の9939万人を記録し(共同通信,2010)、2010年には伊勢神宮の年間参拝者数が過去最高を記録するなど(朝日新聞,2010)、宗教への近接行動が衰退しているとは言い切れない事象も見受けられ、また若者世代においても、宗教的アニミズムや神秘主義的な世界観が織り込まれたアニメーション作品が行為的に受け入れられているという(井上,2002;金児,
1997)。日本人におけるこうした宗教への近接行動は、先に見た宗教意識と行動との間に齟齬があると言わざるを得ない。(p26)
つまり、日本人は宗教意識と宗教行動が必ずしも一致しない、むしろ乖離しているケースが多いということが言える。「宗教意識」と「宗教行動」を別で捉えているという事なら、年初めに神社へ初詣、夏のお盆、教会で結婚式、ハロウィン、クリスマスなどの「宗教意識」と「宗教行動」が一致しないことに納得がいく。
「自覚的信仰としての宗教」と「習俗としての宗教」の違いで、日本人の多くが「習俗としての宗教」を実行しながらも、それはすなわち日常生活や年中行事、あるいは通過儀礼の中に埋没した宗教である。と、福島は言っている。（福島,2011,p26）
また、福島(2011)は具体的な宗教行動と宗教意識について以下のように述べている。
本研究において、寺社への参拝やおみくじ、お守りの購買という形で宗教行動が見られた。寺社での参拝、あるいはおみくじ・お守りの取り扱いについては、マナーとして「粗末に扱わない」「神様に失礼なことをしない」など、宗教・信仰の自覚が弱い人でもこうした報告が見られた。
こうしたマナーは前項で詳述した日常生活に宗教が深く染み込んでいる点から考察すれば、それもまた宗教・信仰の表れだと理解できよう。(福島,2011,p39)
このように日本人は「宗教意識」が日常生活の中に染み込んでおり、それが「宗教行動」だと自覚していないということがわかる。また日本人の「宗教意識」や「自覚的信仰としての宗教」に対してのイメージの悪さは、1995年のオウム真理教事件が影響していると考える。実際、福島(2011)の文献でもこの件について、以下のように書かれていた。
特にカルト系宗教団体が大きな事件を引き起こした1990年代後半に少年期・青年期を過ごした世代には宗教に対する拒否的な意識がある。(p26)
だからこそ、「宗教意識」と「宗教行動」が分離していることに違和感を感じない人が多いと考えられる。「宗教＝オウム」のよう否定的なイメージがあるからこそ、「宗教意識」の薄い「宗教行動」をしているとも捉えることができる。
したがって、以上のことから、「日本人は宗教に対していい加減」なのではなく、宗教意識と宗教行動を別のものと捉えており、日本人の宗教行動は日常生活に深く染み付いていることから宗教意識を認識しにくいということが言える。つまり、日本人は欧米人のように宗教意識と宗教行動をリンクさせていないことが多いので「いい加減だ」と言われるが、捉え方の違いであるということだと反論する。
引用文献
福島和俊『日常生活に埋没した宗教・信仰の心理学的理論構築への試み』〜日本人大学生を対象とした面接調査から〜 岡山大学大学院社会文化科学研究科紀要第32号(2011,11)
http://ousar.lib.okayama-u.ac.jp/files/public/4/47173/20160528085528206766/hss_032_025_042.pdf
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