抽象的パラレルワールド

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 おはようございます。「博士」よりも「隊長」と呼ばれた方が変なプレッシャーを感じずにいられるはっさくです。(博士はまじですごい人に使う言葉だと思っている)

 

 

 さて、自分が作った作品の意図を自分の口から説明するのは、なんだか恥ずかしい気がするのですが、この際なので、標本アートの意義なんかも話しておきたいと思います。

 

 まず、僕は位置付けとして、人に見せるような作品を「標本アート」と呼んでいます。学術標本とは、少し違い、まずは「目で見て楽しんでもらえる」を意図として作っています。

 

 「標本」と聞いたら、よく博物館で見かける、ズラーっと虫が並んでいて、ラベルがビシっとつけられて、綺麗に並んでいるのを思い浮かべるかと思います。

 

 多分、これを見て楽しめるのは、「ある程度知識のある人」や、「ある程度虫に興味がある人」たちです。

 

 ここでの標本の価値が「学術的価値」に縛られている為、学術的視点で見れる人が楽しめるんです。(知識がある程度ある人)

 

 一方で、僕が作る「標本アート」はラベルの付いていない標本もあるので、「学術的価値」としては、あまり機能しないかもしれませんが、文字通り「アート」なので、「美術的価値」など「見る方の価値」を重視しています。

 

 世間一般で言うと、昆虫の学術よりも、何かしらのアート作品を見て「すげー」と思う人の方が割合は高いと思います。(綺麗な景色を見て「すげー」と思うのと同じ)

 

 つまり、「パイの大きい方に絞った」ということです。虫に詳しくない人が、普通の標本見たってあんまり面白くないんです。

 

 それだったら、視覚的、感覚的に「おーー!」って思ってもらえるようなものの方が良いと思って「標本アート」を作っています。

 

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 まあ、もちろん作品なので、ちゃんと意図があって、今回のやつで言うと、まず作品名が「抽象的パラレルワールド」という名前になっています。(後付け)

 

 中心を境に、左側が自然物、右側が人工物という区切りで、自然の方は「曲線的」に、人工物の方は「直線的」になっています。(自然物の造形美と、人工物の造形美の対比)

 

 一応区切られているものの、同じ箱の中に存在し、その境はどこか曖昧なところがある。それは我々の人間社会と、自然の共存関係に似たもので、自然界は想像を遥かに凌ぐパラレルワールドが展開されていて面白いのですが、我々人間社会も、その自然の恩恵を受け、共存しているんだよ。というメッセージを込めて作りました。

 

 考えてみれば、僕達の生活と、自然界の生活に具体的な境界はなく、でもどこか、今回の講座のハチの話のように、別の世界線にあるんじゃないかと思わせる自然の魅力。

 

 僕は特に、生活の中に自然を感じないと豊かさを感じ辛くなってしまい、僕の生活の定義は「自然」にあったりもします。

 

insect in life.

 

 これは僕の作品のテーマにしている言葉です。

 

 自然と人間社会、昆虫と人、同じ地球に存在するものでありながら、決して具体的に、明確に線引きする事のできない、抽象的で曖昧なパラレルワールド

 

 そこがめっちゃ面白いんです。

 

 そんな事をイメージして、少しでも昆虫へ興味を持ってもらえる入り口になれば良いなぁと思って作品です。

 

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 去年の展示会でこの発想があればなぁと思っています。(↓ちなみに去年の作品はこちら)

 

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 じゃー終わりまーす!また明日!

 


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